第1部
納得して治療を受ける

3. 治療について知る

(3)妊娠の可能性を残す(妊孕性にんようせい温存療法)

薬物療法や放射線治療、手術を受けた一部の患者さんでは、妊娠するために必要な臓器とその機能(=妊孕性)がダメージを受けることが知られています。

そのような可能性のある治療をする場合は、事前に担当医から説明があります。

基本的には、がんの治療を優先しながら、将来妊娠する可能性を残す方法(=妊孕性温存療法)を考えることになりますが、そこにはさまざまな選択肢がありますので、よく担当医と相談して、どうするのかを決めてください。

妊孕性温存療法を受けることを選択した場合は、担当医から琉球大学病院産婦人科「がんと生殖医療カウンセリング」外来へ紹介することになります。

沖縄県では現在、国の「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」を利用した、妊孕性温存療法および温存後生殖補助医療(妊孕性温存療法により凍結した検体を用いた生殖補助医療等)にかかる費用の一部を助成する事業があります。

■妊孕性温存療法に対する助成

対象の治療と助成上限額は以下のとおりです。通算2回まで助成が受けられます。

  • ① 胚(受精卵)凍結 35万円
  • ② 未受精卵子凍結 20万円
  • ③ 卵巣組織凍結 40万円
  • ④ 精子凍結 2万5千円
  • ⑤ 精子凍結(精巣内精子採取術) 35万円

■温存後生殖補助医療に対する助成

対象の治療と助成上限額は以下のとおりです。治療期間初日の妻の年齢により助成回数が異なります。(40歳未満:通算6回、40歳以上:通算3回)

  • ① 凍結した胚(受精卵)を用いた生殖補助医療 10万円
  • ② 凍結した未受精卵子を用いた生殖補助医療 25万円
  • ③ 凍結した卵巣組織再移植後の生殖補助医療 30万円
  • ④ 凍結した精子を用いた生殖補助医療 30万円